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芥川龍之介「蜘蛛の糸」

芥川龍之介「蜘蛛の糸」を読んで

 地獄とはどのようなところなのか、極楽とはいかにすばらしい場所なのか、この作品を読むまで大変興味がありました。まさか極楽と地獄が池でつながっているとは意外でした。作品の中での極楽の清清しさと地獄の暗黒がうまく対比されていて印象的でした。私は今までずっと「地獄は悪いことをした人が行くところ、地獄に行った終わり」と思っていました。しかしこの作品をよんで、その考えが大きく変わったように思います。「地獄まで行けばもう終わり」ではないのです。前向きな考えをするのであれば、地獄にいても見ている人は見ているのです。わかってくれる人はわかってくれるのです。手を差し伸べようとしてくれる人がいないわけではないのです。この作品にでてくる地獄の罪人たちも反省の気持ちや、改心したいと思う気持ちがあれば、また新たな道が開けてきていたのかもしれません。
 大泥棒のカンダタは生前に悪いことばかりをしていたため地獄にいれられました。地獄には沢山の罪人がいました。しかしそんな中、極楽のお釈迦様はカンダタが生前に一度だけ道で出会った蜘蛛を踏みつけなかったことがあることを思い出し、助けてあげようと思ったのです。生前の些細な善行が人の良心にふれたのです。この場面が大変印象的でした。どんな人間でも、長い人生において最初から最後までずっと「善人」でいられるはずはありません。失敗してしまうこともあります。自分の意図とは別に、誰かを傷つけてしまったり、裏切ってしまったりすることもあります。そして、それが原因で思いもよらないような最悪の状態に陥ることもあるかもしれません。しかしそういったとき、それまでの普段の行いが真摯で誠実であったならば、周りの人間の誰かがきっと手を差し伸べてくれるのだろうと思いました。逆も然り、普段から周囲のことを考えず、自分中心に私利私欲に走ってきたような人間であったならば、どん底の最悪の状態に陥ったときでも、「あの人はそういう罰を受けるべき人」「いい気味だ」と見放されて終わるのかもしれないと思います。
 お釈迦様は蜘蛛の糸を地獄の方へたらし、カンダタが上がってこられるようにします。やっとしがみつき下を見ると、その細い蜘蛛の糸に周りの地獄の罪人たち がどんどんと乗ってこようとしているのです。そしてカンダタは「この蜘蛛の糸は俺のものだ。お前たちは一体誰に聞いて登ってきたんだ!おり」と叫び、そ のとたんに蜘蛛の糸がプチンと切れてしまいました。罪人たちと一緒に再び地獄に落ちたのです。そしてお釈迦様はとても悲しいお顔をされました。カンダタはもう極楽へのぼることはできなくなりました。また地獄の罪人たちとともに苦しむことになったのです。
 お釈迦様がたらした蜘蛛の糸は確かに細く、弱いものだったのかもしれません。ただ、

お釈迦様がそのような蜘蛛の糸をたらしたのはなぜでしょう。どのような意味があったのでしょう。私はきっともう一度カンダタの心を試したかったからだと思います。本当に改心しているのか、周りのことを考えられる人間になっているだろうか、ということを知りたかったのだと思います。もしもカンダタが自分だけが助かろうとせず、周りの罪人たちのことも考えたり、配慮していれば、お釈迦様はきっと助けてくれたと思いますし、蜘蛛の糸もきれなかったでしょう。私利私欲にはしり、自分だけ助かろうと周りに牙をむいたことがいけなかったのでしょう。
 この場面も私たちの日常の生活に置き換えることができます。日常生活での人付き合いのなかで、自分の意図とはよそに、誰もが平等に機会やチャンスを与えられるわけではありません。同じことをしていても、皆が同じ評価を受けられるかというと、そういうわけではありませんし、色々なシチュエーションにおいて不平等さ、不公平さを感じることが多い社会です。こればかりはなかなか変えることができまぜん。そのような社会なので仕方がないのです。自分が優位になった ときに、その他のまわりの人間は不利になるということがあります。その状況において、どのようにふるまうべきか、どのように配慮するべきなのかをよく考える必要があると言うことを学びました。自分だけおいしい思いをしようと思うのは、きっと間違いなのだとおもいます。誰もが平等ではないからこそ、優位に立った人間が不利な状況になっている人間のフォローをしてあげるのがよいとおもいます。自分の利益ばかり考えていると、結局足元をすくわれることになりかねません。この文章はサンプルです。コピペは犯罪です。どんな状況においても、利己的にならず、周りへの配慮を欠かないよう心がけていかなければならないと改めて痛感しました。「幸せはおすそわけしあうもの、みんながちょっとずつ幸せになれることが一番の幸せだ」と感じられるような、心に余裕のある素敵な人間になりたいと思いました。また、つねにお釈迦様のような澄んだ心でいたいものです。


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